今回は読み物ネタです。
にらみ鯛。。。なんだかシャレのような面白い語感ですね。
青空文庫のリストの中に、「佐藤垢石(さとうこうせき)」という作家(エッセイスト)がいます。
釣りが大変好きな方で、私も釣人間なのでその釣りに関するエッセイは大変興味深く、面白く読んでいます。
そのような作の中で、
「にらみ鯛」というものがあります。
幕末の京都、それも公家、朝廷の生活についての書き物です。
江戸時代はご存知のとおり、朝廷は実質的に幕府の管理下にあり、毎年わずかに割り当てられる予算から
ぎりぎりの生活を強いられていたこと、取り巻く幕府の役人達の「怠慢、傲慢」から予算も役人達の
懐に転がり込む分が増え、ひどい状態に。
物語はこんなところから始まります。
幕末、京都所司代の幕府代表がたまたま朝廷訪問時間がのびて、夕食時にかかってしまったとき
天皇にだす食事のおすそわけをいただく機会があったそうです。
だされた膳をありがたくいただこうとしたら、「魚から悪臭がしてたべられない。」
所司代は「なぜこのような食事が天皇に提供されているのか?」ショックを受けてしまいます。
これが実体なのだとそのときの侍従「岩倉具視」に説明を受け、幕府に費用の増額を願い出ますが、
「却下」、やむなく自腹で支援をするのです。
こんな出だして、江戸時代の朝廷、公家がどれだけキビシイ環境にあったか、ということを
述べた物語なんですが、すべてを受け止めるにはなかなかに信じがたい状態が展開されます。
以前に山口県に数年滞在していたこともあり、幕末史にはそれなりの興味を持って
触れているんですが、この物語は公家からみた幕末の一面が感じられてとても興味深く思いました。
タイトルの「にらみ鯛」は京都で干物の鯛を調理して正月の食膳を飾るものだそうです。
海から遠い京都では新鮮な魚は望めません。ましてや鯛。大変な貴重品です。
正月、みんな揃って、一匹の干物の鯛を食膳にかざり、「食べずにみんなで見ながら酒を飲む」
だから、
「にらみ鯛」
へー、こんなことも知らないの?と地元のヒトには言われそうですが、大変面白い読み物でした。
アタチは「いただき鯛」
食欲最優先。。。
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